小さな成功体験を一つひとつ積み重ねていくことが、
考え方を変えていく秘訣

 今、読まれているあなたも、何が自分の生きづらさの原因か? その解釈は? どう対応していくか? を多少なりともつかめれば今よりも少しは生きやすくなるんじゃないかと思います。

 これから本連載で述べることは、本質的には実に簡単なことばかりです。

 でも、読み進めていくと、きっと「これは難しい!」とか、「私はそんなふうには考えられない!」というものも出てくるでしょう。

 できないことは、とりあえずは放置でいいので、ちょっとだけ全体を見て、やれそうな何かを探してみてください。

 いきなり本を読むだけで、人生の根幹の考え方のクセを変えることは、かなり難しいに決まっています。

 ただ、少しだけ「こんな考え方があるんだな」という程度に流し読みをして、ふと気が向いたときに自分にできることから始めてみようかなと思えたら、大きな変化の引き金に指がかかったようなものです。

 精神科の治療もそうですが、無理をせず、小さな成功体験を一つひとつ積み重ねていくことが、生きる上での考え方を変えていく、シンプルな秘訣になります。

 今、本書を読もうという気持ちになっただけでも、あなたはすでに一つのハードルを越えています。

 ですから、あとはもう一歩、もう一歩と、人生をラクにする手段を増やしていくだけです。どうぞ気楽な思いで、本連載を読み進めていただければと思います。

あるがままの自分を受け入れてもらいたいという生き方は、なぜ、まちがっているのか?バク@精神科医
元内科の精神科専門医 中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。 精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。