海外から見た東京五輪
メダルラッシュで風向き変化

 海外では今回のオリンピックはどのように捉えられていたのだろうか。

 ポーランドに在住する筆者の体験を紹介すると、東京五輪の開会式が始まっても街の雰囲気は淡々としたものだった。7月に決勝が行われたサッカーのユーロ2020の方がよほど盛り上がっていた。

「日本ではパンデミックが収まらない中、オリンピックが開幕したんだってね。大変だね」と、“オリンピックご愁傷さま”といわんばかりの同情の目を向けられることも何度かあった。

 しかし、ポーランド選手が次々とメダルを獲得し始めると雰囲気は一変。メディアも積極的に取り上げるようになり、オリンピックムードが急速に高まった。最終的にポーランドは、2000年のシドニーオリンピック以降最多となる合計14個のメダルを獲得した。おそらく東京五輪はポーランド人には好印象を残したはずだ。

 オリンピック開催期間中は母国ではなく日本にいたゴンチャシさんだが、このような状況を次のように語る。

「ポーランドでもオリンピック反対派もいれば、楽しみにしていた人もいました。メダルラッシュになるとネガティブな面は忘れてアスリートの活躍に熱中するというのは、どの国でも起こり得る現象だと思います」

 メダルラッシュに興奮するのはどの国でも共通らしい。

 困難な状況の中、無事にオリンピックのリポーターという大役を終え、今は一抹の寂しさのようなものを感じているというゴンチャシさん。

「2016年のリオ五輪の閉会式で安倍首相(当時)がマリオの扮装で登場したとき、次のオリンピックは自分が住む東京で開催されるとワクワクしたことを今でも覚えています。そのときからずっと楽しみにしていたので『あー終わっちゃったんだなー』と思うとちょっと寂しいですね」

 そんなゴンチャシさんが現在、気にしているのは10月に東京マラソンが開催されるかどうかということ。実は彼はアマチュアではあるがマラソンランナーで、東京マラソンに参加予定なのだ。今までにニューヨークシティマラソン、ロンドンマラソン、ワルシャワマラソンに出場している。本当は昨年、東京マラソン2020に参加するはずだったが、コロナの影響で一般参加は中止になった。

 東京マラソンに参加することは、「日本でやりたいToDoリスト」に入っているという。

「自分が住んでいる東京の街を走るのはやはり格別だと思います。何の準備もしないでフルマラソンは走れないので、アマチュアとはいえそれに向けたトレーニングをする必要があります。でも今年もキャンセルになるかもしれないと思うと、モチベーションを保つのが難しいんですよね。そういう意味でも、コロナ禍下のオリンピックに参加したアスリートの気持ちは理解できます」