新型コロナは収まる気配が見えず、企業のテレワークは定着していきそうだ。多くのビジネスパーソンが、WEB会議やチャットツールの使い方など、個別のノウハウには習熟してきているように見えるが、置き去りにされたままなのが「テレワークのマネジメント」手法だ。これまでと違い、目の前にいない「見えない部下」を相手に、どのように育成し、管理し、評価していけばよいのだろうか? その解決策を示したのが、パーソル総合研究所による大規模な「テレワーク調査」のデータをもとに、経営層・管理職の豊富なコーチング経験を持つ同社執行役員の髙橋豊氏が執筆した『テレワーク時代のマネジメントの教科書』だ。
立教大学教授・中原淳氏も、「科学的データにもとづく、現場ですぐに使える貴重なノウハウ!」と絶賛する本書から、テレワーク下での具体的なマネジメント術を、解説していく。

テレワークでは要注意!<br />こんなチャットは<br />セクハラ・パワハラになる!Photo: Adobe Stock

チャットには慎重になったほうがいい理由

 テレワーク下では、日常の報・連・相に最も頻繁に使うチャットツールですが、スピーディにコミュニケーションがとれて、大変便利な一方、使い方を誤ると非常にリスクがあるのも事実です。

 メールなどに比べて、ビジネスでの連絡ツールとして使われるようになってからまだ日が浅いので、共通のモラルやマナーが醸成されているとは言いがたいからです。また、日常的に使いこなしている若者世代と、最近始めた上司世代とでは、感覚にギャップもあり誤解も生じやすいのです。

 さらには、文字に残り、シェアもされやすいので、ついついその場のノリで返した一言が、後々問題になる可能性もあります。たとえば、カッとなって送った一言がパワハラだと言われたり、その場の冗談で盛り上がって送った一言がセクハラだと問題になるリスクもあります。

 あえて、カジュアルに雑談などにも使うことで、部下との関係性を深められるツールですが、チャットのマナーを知っておくことは、自分の身を守ることにもつながります。たとえば下の表のような行為は、セクハラやパワハラと受け取られることがあるので、どんなに親しい間柄でもNGです。「普段と違うプライベートな部分をコミュニケーションのきっかけにする」くらいの軽い気持ちで発した言葉であっても、受け手側が不快感・嫌悪感を覚えるなら、それはセクハラとなります。

テレワークでは要注意!<br />こんなチャットは<br />セクハラ・パワハラになる!