コロナの感染拡大、経済活動自粛による困窮、他人とコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が8月25日に発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。
仕事になじめず、完全に自信を喪失したCさんのケース
世の中には「自分にはこの仕事が向いていない」と感じながら、その仕事を延々と続けている人がいます。
超大手金融会社に就職した、Cさんもそんな一人です。Cさんは、大学の同期の中でもとびきり高い初任給をもらい、皆から羨望の眼差しで見られていたそうです。
ところがCさんは、入社してすぐに仕事がしんどくなってしまいました。
なぜなら、Cさんが勧めたい投資先よりも、会社が指示する儲からない投資先に、お客さんを誘導しなければノルマをこなせないからです。
これは一ヵ所(一社)にお客さんの資金を長期間置いておくより、あっちこっちと移動させ回転させて手数料を取るほうが、会社の儲けが多くなることが理由でした。
お客さんからは当然、文句も出るのですが、そこをうまくかわしながら、上手に手数料を取って会社に儲けを出すのが、この会社で出世する条件なのです。
上司は「キレイごとを言っていて金が儲かるか! 俺もそうやってこの地位に這い上がったんだ。仕事は甘くないぞ。いつまで学生気分なんだ!」と叱責してきます。
Cさんは、なかなかそんなふうに気持ちを切り替えることができず、だんだんと「なんて自分は不誠実なんだろう」と気に病むようになっていきました。
夜は眠れず、酒や睡眠薬を飲むようになり、朝も職場に向かう足取りは重く、仕事もときおり休むようになります。職場での評価は下がる一方です。
Cさんは完全に自信を喪失しました。