リーマンショックで
多額の借入金返済に奔走

 それが、08年秋に起きたリーマンショックです。

 社長就任早々、取引先の銀行から「大変なことになるかもしれない」と言われました。

 私が社長に就任する以前に、当社はシンジケートローン(複数の金融機関が協調融資団を組成して同一条件・同一契約書で行う融資)でお金を借りていたのですが、リーマンショックで保有資産が目減りし、契約の中の財務制限条項に抵触してしまいました。

 その結果、ただでさえ業績が厳しい中で、金融機関から借入金数十億円の一括返済を求められることになりました。

 こうして社長就任から10日たった頃から、事業の立て直しどころか、借入金の返済を巡り、金融機関との交渉や金策に振り回されることになったのです。

 金融機関からは土地などの資産を売却するよう言われましたが、リーマンショック時ですから、安値でのたたき売りになってしまいます。(協調融資団の)金融機関十数行を何度もまわって頭を下げて、返済計画を作って、返済延期をお願いする毎日でした。当時は全く寝ていないぐらいの感覚で、常に体がフラフラでした。

 結局、中目黒にあった旗艦店である虎の子の本社の土地建物を売却し、借入金を返済することになりました。

 そして、やっと本業の改革に注力、専念することができました。