ポイ活Photo:PIXTA

長引く自粛生活の中、副業感覚で「ポイ活(ポイント活動)」を始めたという人も多いようだ。ネットで買い物をすることが増えたという理由もあるが、現金代わりに使えるポイントを効率よくためて節約に励もうというのだろう。お金を一銭も使わずに豪遊できる“ポイント長者”には確かに憧れるが、ちょっと待ってほしい。ポイントをためることにまい進すると、つい見えなくなってしまう不都合な現実もある。本当にポイ活は消費者の味方なのか、そこに落とし穴はないのか。冷静に見極めることが大切だ。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

ポイント長者と節約達人とは正反対の存在

 ポイントをためる目的は「節約」のため、という人は多い。ためたポイントを支払いに充て、そのぶん現金を浮かせられるのだから、その通り。

 ただし、家計費をなるべく抑えようとする節約とは正反対の行為でもある。なぜなら、「ポイントはお金を使わないと付与されない」からだ。もしポイントを少しでも多くためたいなら、5%引きのセール日にまとめ買いするより、値引きのない通常日に定価で買った方が還元ポイントは多くなる。1円でも安く買おうした結果、支払い額が少なくなると、たまるポイントは逆に少なくなるからだ。

「ポイント長者」は、それだけお金を使っているからこそなれる存在なのである。

 ポイントを付与する側の気持ちになると、よく分かるだろう。気前よくあれこれ買ってくれる人には、どんどんおまけをして、次も買ってもらえるようにサービスをする。しかし、じっくり吟味したうえでわずかな安いものしか選ばない客には、そういう気にはならない。

 つまり、ポイントを節約術として活用する「ポイント達人」に向いているのは、ポイント還元率が大幅アップするセールで一気にお金を使う人だ。だから、思うようにポイントがたまらないと嘆くことはない。それは、あなたが堅実な節約達人だという証拠だ。どっちが得意かだけの差で、どちらが優れているかではない。