百害あって一利なしの「70歳定年」、50代からの心がけとはマインドセットの切り替えを定年前にやっておくべき(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2021年4月に施行された「改正高年齢雇用安定法」。これにより70歳までの継続雇用が努力義務となり、実質的に定年が消滅した生涯現役社会が到来したともいえるでしょう。だからといって、70歳まで安泰というわけではありません。定年に備えて準備をしておかないと、定年後に大きな格差が生まれる可能性があります。そこで今回は、これまでに5000人以上の定年退職者をサポートしてきた株式会社CEAFOM代表取締役社長・郡山史郎さんの新刊『定年格差』(青春出版社)から、「70歳定年」で懸念されるシニア世代の働き方について抜粋紹介します。

「70歳定年」は百害あって一利なし

 改正高年齢者雇用安定法が施行された2021年4月1日以降、努力義務とはいえ企業は「70歳までの定年引き上げ」か、「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)」などを講じなければならなくなった。社員本人さえ希望すれば、今いる会社で70歳まで働けるようになったのだ。

 これを受けて、多くのメディアでは、こんな言説が相次いだ。「いよいよ生涯現役が当たり前になる」「“定年消滅”時代の到来だ」

 しかし人材紹介をおこなう傍ら、5000人以上のシニアの再就職をサポートしてきた私にしてみたら、この「70歳定年」制度は愚策としか言いようがない。今、企業に勤めているほとんどのシニア世代、あるいはこれからシニアになる中年世代にとって、まさしく「百害あって一利なし」であるからだ。