サイバー犯罪に従事する人物を思い浮かべほしい。それは非常に腕の立つ一匹狼のハッカーか。それとも外国政府のスパイ、あるいは組織犯罪のボスだろうか。もしそうならば、あなたは全体像を捉えきれていない。そうした役回りの人物もいる。だが最も危険なサイバー犯罪は、無法者が個別に手がける領域ではない。それは大規模なビジネスだ。関与する大半の人々にとって、一部メディアの描写が示唆するような刺激的で大金を稼げる――それなりに華やかさもある――世界ではない。これは単なる仕事だ。多くの場合、退屈で、低賃金で、将来性のない仕事であり、フラストレーションがたまり、最終的には燃え尽き症候群に陥る。サイバー犯罪に関わる大多数の者は、攻撃を仕掛ける側を支援するサービスの広大なネットワークの歯車にすぎない。