米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策に関して言えば、インフレ率が足元でどの水準にあるかは、来春にはどうなっているかに比べれば重要性がはるかに低い。インフレ率は現在、かなり高い水準で推移している。米労働省が14日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、季節調整済みで7月から0.3%上昇し、前年同月比では5.3%上昇した。インフレの動向をより的確に把握するために食品やエネルギー品目を除いたコア指数は、前年同月比4%上昇となった。FRBが重視する商務省の別のインフレ指標はもう少し低い傾向にあるが、14日の発表からは、FRBが目標としている2%を大きく上回っていることがうかがえる。それでも、8月のインフレ率は現時点でFRBの短期計画にはほとんど影響しない。FRBは11月の会合で毎月の国債購入額の縮小を開始し、来年半ばに完了させる方針を固めているようだ。今から11月までの間に、インフレ率が大幅に低下あるいは大幅に加速する公算は小さく、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)の開始を実際に遅らせる可能性があるのは、極めて低調な雇用統計のみである。
米インフレ動向、当面はFRBの政策を左右せず
インフレ率は足元の水準より来春の動向のほうが重要
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