決算報(百貨店)Photo:PIXTA

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は丸井グループ、J. フロント リテイリング、高島屋の「百貨店」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

百貨店3社は四半期増収でも
まだ「現状は厳しい」といえるワケ

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の百貨店業界3社。対象期間は21年3~6月の直近四半期(J. フロント リテイリング、高島屋は21年3~5月期、丸井グループは21年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・丸井グループ
 増収率:13.7%(四半期の売上収益486億円)
・J. フロント リテイリング(大丸松坂屋、パルコ)
 増収率:16.8%(四半期の売上収益741億円)
・高島屋
 増収率:42.0%(四半期の営業収益1650億円)

 なお、三越伊勢丹ホールディングス、エイチ・ツー・オーリテイリングについては、会計方針の変更に伴って前年同期実績との比較が不可能であるため、今回は掲載を見送った。

 今回取り上げた百貨店業界3社の四半期増収率(前年同期比)は、3社ともプラスだった。高島屋は4割超の高い増収率を記録している。しかし、これらの数字の背景をひも解くと、まだまだ百貨店業界は厳しい状況にあるといえる。その理由とは何か。次ページ以降で詳しく解説する。