8月末、米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(GAFA)の株式時価総額が、日本株全体の時価総額を上回った。逆にいえば、わが国企業の株価の低迷が続いている証拠とも解釈できる。その背景には、わが国企業の「新しいモノを作る」能力が劣化し、個々の企業の期待成長率が低下したことがある。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)
「新しいモノを作る」能力が劣化
日本株は世界の「景気敏感株」
8月末、米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(GAFA)の株式時価総額が、日本株全体の時価総額を上回った。その背景には、世界的な低金利環境による株式市場への資金流入と、米国のIT先端企業の成長期待の上昇がある。
逆にいえば、わが国企業の株価の低迷が続いている証拠とも解釈できる。その背景には、わが国企業の「新しいモノを作る」能力が劣化し、個々の企業の期待成長率が低下したことがある。世界の主要投資家は、日本企業は独自に高成長を実現することが難しくなり、日本株は世界の「景気敏感株」との考えを強めている。そのため世界経済が上向けば日本株が上がるが、先行き不安が高まると株価の低迷が目立つ図式になっている。
わが国経済がかつてのような成長を目指すためには、企業が新しいモノを生み出すビジネスモデルの創出に向けて自己変革に取り組む必要がある。それが企業と経済の成長期待を支えることにつながる。ただ、GAFA4社の時価総額がわが国全体の時価総額を超えるのは、付加価値ベースで見ても行き過ぎとみられる。それは、どこかのタイミングで是正されるだろう。