コンピュータの導入が
部下に無関心な上司を生んだ?

 大手食品会社で研究職に就く30代のフジタさん(仮名)も、「朝、どうしても起きられない」「頭の回転も落ちている」などと訴え、出勤しなくなった。会社を休みだすと、ずるずると、引きこもりの生活が続いた。

 フジタさんは、郊外のアパートで1人暮らし。有給休暇を使い切っても出勤してこないため、会社は実家の母親に連絡した。すると、驚いたことに、母親が彼のアパートに駆けつけたとたん、フジタさんは再び出社し始めた。

 母親がアパートに滞在した2ヵ月ほどの間は、フジタさんも何事もなかったように出勤し続けた。「朝、母親に起こしてもらえるから」だという。

 ところが、母親が実家に帰ったとたん、フジタさんは再び朝、起きられなくなり、出勤しなくなった。

 会社の医務室が、フジタさんに精神科のクリニックを紹介して診てもらったところ、「うつ症状」と診断された。原因を調べたところ、フジタさんは金曜の夜になると、インターネットにハマっていたこともわかった。

 フジタさんの会社は、週休2日制だった。そこで、フジタさんは金曜の夜になると、ほぼ徹夜でネットに夢中になる。そのため、土曜日から睡眠のリズムが狂いだし、昼間は1日寝ていて、起きるとまたネットに向かった。そして、日曜の昼間もほぼ1日寝てしまうため、月曜の朝になっても、起きられなくなっていたのだ。

 産業カウンセラーは「原因のネットをやめて、リズムを作ろう」とアドバイスした。しかし、しばらく出勤できても、母親がいなくなると、朝、起きられなくなり、2~3週間ほど休む日が繰り返された。その間も、上司からは放っておかれる状態だったという。

 「最近の上司は、部下が休んでいても心配しない。コンピュータが職場に導入されるようになり、昔のように後輩を育てるシステムも、崩壊してきたのではないか」

と、前出のカウンセラーは指摘する。

 上司が部下を誘って酒を飲みに行く“飲みにケーション”の機会も少なくなった。職場で、個々が孤立する状況が生まれている。

そんな企業内の余裕のなさが、引きこもる大人たちを生み出す一因になっているのかもしれない。