中国恒大の巨額の負債規模は
中国の年間軍事費支出を上回る
中国の不動産業はこれまで経験したことのない危機にひんしている。震源地となったのは、1996年に広東省で創業した不動産大手「中国恒大(こうだい)集団」だ。同社が抱える負債は総額1兆9700億元(約33兆4000億円)を上回る巨額だ。
コロナ禍の影響を強く受けた中国経済は、2020年の国内総生産(GDP)の前年比成長率が2.3%と1992年以来の最低水準を記録した。それでも初めて100兆元の大台を突破し、101兆6000億元(約1628兆円)という実績を出した。
恒大集団の負債は、なんとそのGDP総額の2%に相当する規模だ。中国のインターネットでは、その負債規模を次のようにわかりやすく説明している(参照:https://www.eet-china.com/mp/a78441.html)。
「中国の(2020年の)1年間の軍事費支出1兆2000億元(約20兆円)を上回っている。北京、上海、深セン、蘇州の4都市の年間の歳入に相当する。中国工商銀行、中国銀行など4つの国有銀行の純利益の合計は、1兆元(約17兆円)に達したばかり。国内で『最ももうかる』会社といわれる中国たばこの2020年の利税総額は1兆2800億元(約21兆円)。20年、広東省の歳入は1兆2900億元(約22兆円)で、この年、成都市のGDP総額は1兆7716億元(約30兆円)であった。もう少し視野を広げてみると、世界で190カ国以上の国のGDPを上回っている。」
だから、恒大集団が負うこの巨額の負債は、「第二のリーマンショック」になるかと世界の金融関係者に危惧されるほどの経営危機となっているのだ。