大型工事の現場ではさまざまな工種で大勢の職人が作業進捗に合わせて入れ替わりながら働く大型工事の現場ではさまざまな工種で大勢の職人が作業進捗に合わせて入れ替わりながら働く Photo:PIXTA

建設現場の休工が相次いだ初期のコロナ禍対応から1年以上たった。工事と感染対策を両立する方針が採られているが、現場の感染予防には限界があった。(ダイヤモンド編集部 松野友美)

鹿島が元請けの建設現場で
コロナ感染が発生

 大手ゼネコンの鹿島が元請けとして施工を請け負っている中外製薬(以下、中外)の研究施設、「中外ライフサイエンスパーク横浜」の工事に従事する職人の間で、新型コロナウイルスの感染者が発生していた。

 これは16棟の建物を建てる巨大計画であり、最近では1日に2000~2500人もの職人が広大な敷地に出入りしている。

 足元では落ち着いてきたものの、変異株が流行したこの夏は連日数人の規模でコロナ感染者が発生。多いときは1日に10人以上の感染者が見つかった。

 他の現場にも出入りしている職人によると、中外の他にも感染が広がった大型現場があったという。虎ノ門・麻布台プロジェクトもその一つだ。

 建設現場における感染予防のために行政が示す基準は、ダブルスタンダードになっている。