今年の春は労働争議の仲裁役に
手弁当で駆り出される

――労務問題については、貴社はどのような対応をしていますか。

社長 労務面については、しっかり対応しているのでうちの会社は問題ないと思います。ただ、他の会社で苦しんでいるところは今年は結構ありましたよ。特に、縫製関係の工場では、かなり揉めたところもあったと聞いています。実は、私は労務監督局から頼まれて、労使間の仲裁に駆り出されたりもしました。

――なぜ貴社にそういった依頼が来たのですか。

社長 それは、うちも靴製造なので、ある程度、縫製業界と似ているところがあるからでしょう。それと、私はこの地域の工場の集まりの世話役をやっていたり、地元の労務監督局とつながりがあるので、今回のようなときには声がかかるのです。

――具体的にはどのように仲裁を行うのですか。

社長 まず、両方の言い分を聞きます。特に、両方が相当熱くなっている場合、お互いが相手の言うことを聞いていない、もしくは聞く気がないような状況もあるので、まずは、お互いの意向を双方に伝えあい、それぞれの意向を聞く中でどの辺が落としどころとしてあり得るのかを、個別に確認していきます。それでお互いの意向がすり合わせられるようであればいいですが、無理であれば、それを繰り返していくしかありません。

――今回はどの程度の期間、そういった仲裁役を務めたのですか。

社長 今年の春のケースだと、一件でなんだかんだで3日ぐらいかかりました。結構時間がとられるんですよ。

――その仲裁役に入るのは、政府からいくらか手当が出るのですか。

社長 それは出ないですよ。ですから基本的に無報酬で対応することになります。ある意味、立場上仕方がないところはありますが、これが毎年発生したり、何件も起こったら、さすがに対応しきれませんね。

――そうして仲介に入る会社や工場は、地場の会社が多いのですか。

社長 いや、そんなことはないですよ。個別の名前はお伝えできませんが、この前は外資の工場の仲裁に入りました。そこの社長は、相当困っていましたね。無事に解決した後は、とても感謝されました。

――ちなみに靴製造の業界においては、外資はどの程度入っているのですか?

社長 現在2社が外資で、ともに韓国資本です。これから、もし外国企業の進出が進むと、地場の企業にとっては明らかに困難な状況になります。

――労使争議の仲裁などのご経験を踏まえて、ミャンマーにおいて労使間での問題を防ぐためには、どのような点が重要だと思いますか。

社長 当たり前かもしれませんが、より双方が日頃から話し合える関係を築いているかだと思います。日ごろから、お互いが何を考えているか、しっかり分かり合えている関係ができていれば、地場の会社でも外資でも、ある程度の意見の相違はあってもそれほど問題は拡大しないと思います。