本シリーズの第23回で、ミャンマーからの留学生斡旋を25年にわたり手がけてきた日本ミャンマー交流援護会の活動を通じて、今までの日本におけるミャンマー留学生招致活動についてお伝えした。そのミャンマーからの留学生は、日本に対してどのような思いを持って来日したのだろうか。また実際に来日して、どのように感じているのか。日本ミャンマー交流援護会の藤井啓一郎理事長と、数年前に留学生として来日し、現在日本でミャンマーからの留学生のサポートをしているリーさんに話を聞いた。

以前は娘を留学に行かせたがらなかった

――リーさんが、日本への留学に興味を持ったきっかけは何だったのですか。

リーさん 私の家は日本大使館から歩いて10分くらいのところにあります。私が子どものころ、日曜日に大使館で日本の映画を上映していました。そこで日本映画を通じて文化や風景を見ているうちに、日本に行きたいと思う気持ちが強くなりました。それは今からおよそ10年前でしたね。それから日本語を勉強しはじめて、より日本に行きたいとの思いが強くなりました。

――日本に留学するとなると、女性ということもあって家族の方が心配したり、反対することはありませんでしたか?

リーさん 確かに、最初海外に留学に行きたいと切り出したときには、親からは反対されました。私が留学した頃は、女性は海外に行くなという風潮が強かったのです。でも根気よく説得したら、最終的にはわかってくれました。

*  *

 藤井氏によると、長年留学生の来日アレンジをしてきた中で、その男女比率はおおよそ半々とのことだ。海外の国によっては、女性に対してそれほど教育をしない国もあるがが、ミャンマーはどうなのだろうか。また、ミャンマーの家庭は娘の海外留学に積極的なのだろうか。

*  *

―― 一般的に、ミャンマーでは女性の海外進出に対して、どのような考え方があるのでしょうか。

藤井氏 ミャンマーでは女性は宝物です。だから海外に出して何かあったら大変と、すごく敏感です。例えば、ミャンマーでも日本のヤクザとかは有名なので、そういうのに絡まれないかと、とても心配しています。また、留学生の女性にもし何かあったら、国をあげて動きます。また、基本的にミャンマーの国の方針として、女性は海外に出したがらないというのもあります。