本稿は、鳥海高太朗著『コロナ後のエアライン』(宝島社)から一部を抜粋・再編集したものです。
プラットフォームビジネスを強化
「ANAマイレージクラブ」を活用
新型コロナウイルスの蔓延により、1年以上にわたって国際線の利用者が9割以上減少してしまった。仮にコロナ禍が収束したとしても、今後新たなウイルスや伝染病、政治リスク、経済リスクなども含め、突発的な航空需要の減少が10~20年に一度のペースで起こる可能性は十分に考えられる。
こうしたなか、航空会社は、新型コロナウイルスのような航空会社の自助努力だけではどうしようもない事態が発生したときでも最低限の収益をあげるため、本業である航空事業だけではなく、非航空事業の強化をすすめていかなければならないことが明確となっている。国内の航空会社のなかでも新たなビジネスモデルとして非航空事業を強化する動きを真っ先に示したのがANAホールディングスである。
2020年10月、事業構造改革の発表の場で、同社の片野坂真哉社長は、「プラットフォームビジネス」の強化を打ちだした。これは、顧客との強力なタッチポイントである航空事業の根幹であるエアライン事業、旅行事業にくわえて、マイレージプログラム「ANAマイレージクラブ」の会員を活用し、マイレージ会員が日常的に利用するであろうサービスに参画し、結びつきを強化することによって飛行機に乗らない日常生活でもANAと関係を持ってもらうことをめざしたものである。