「コロナワクチンのブースター接種は不要」、WHOの科学者らの見解写真はイメージです Photo:PIXTA

 大半の人にとって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種は必要ないようだ。世界保健機関(WHO)や米食品医薬品局(FDA)の科学者らも参加したチームが実施した大規模な国際的レビューで、現行のCOVID-19ワクチンは、たとえデルタ株に感染しても、重症化予防に対する十分な効果があり、ブースター接種は不要であるとする見解が報告された。このレビューの詳細は、「The Lancet」に9月13日掲載された。

 レビューの共著者である、WHO主任科学者のSoumya Swaminathan氏は、「現在使用されているワクチンは、安全かつ有効であり、人々の命を救うことができる」と述べる。そして、「ブースター接種により接種済みの人々の免疫力をさらに高め、感染者数を減らすという考え方は魅力的ではある。しかし、ブースター接種を進めるかどうかは、エビデンスに基づいて、個人や社会にとってのベネフィットとリスクを勘案した上で決めるべきだ」と付け加えている。

 研究チームは、COVID-19重症化、および新型コロナウイルス感染に対するワクチン接種の効果や有効性を、変異株やワクチンの種類、ワクチン接種からの時間経過などの観点から検討したランダム化臨床試験や観察研究の結果をレビューした。