中国が広範囲にわたり電力不足に陥っていることで、世界第2位の規模を誇る国内経済の回復が脅かされている。また世界のサプライチェーン(供給網)でさらに混乱が広がり、各国でインフレ圧力を高める恐れがある。今回の電力危機は、炭素排出量の抑制といった中国当局が目指す政策課題の優先順位に変化が生じた場合に、その影響がいかに世界経済全体へと波及するかを如実に物語っている。「連鎖的な反応が広がる」。保温・保冷水筒やリュックサックなどを製造するシンプル・モダン(オクラホマ州)のマイク・ベッカム共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は警戒感を隠さない。「現地の状況を把握するのに伴い、これまで当社が経験したことのない大きな問題に発展する可能性があることが分かった」