取引先のコロナリスクを見極める「4つの決算数値」写真はイメージです Photo:PIXTA

政府による資金繰り支援などにより、コロナ禍にもかかわらず倒産件数は低水準で推移している。今後、倒産件数の増加が危惧されるなか、取引先のコロナリスクをどう見極めればいいのか。今回は与信管理の業務を始めたばかりの人や新入社員でもわかる、コロナ禍で注目すべき取引先(中小企業)の決算書チェックポイントについて解説したい。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)

コロナ禍の支援策で
延命するゾンビ企業

 今年の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、8月までに4022件と前年同期比で26.1%減少している。昨年の年間倒産件数は7809件と20年ぶりに8000件割れとなったが、今年はそれをさらに下回り、年換算すると6000件前後となるペースだ。

 しかし、このような減少傾向は、緊急融資をはじめとする各種支援策によって倒産が抑制された結果であり、コロナが発生していなければ淘汰(倒産)されていたはずの一定数の事業者が延命され、ゾンビ企業になりつつあることを危惧する声も少なくない。