東証再編#21Photo:Stefano Madrigali/gettyimages

流通株式時価総額が低く、プライム市場の基準に満たない企業の「倒産危険度(Zスコア)」を計算すると、“危険水域”に到達している企業が67社存在した。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の#21では、プライム陥落と経営危機という「二重の窮地」にひんする企業を浮き上がらせる。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

プライム陥落と経営危機の「二重の窮地」
独自資産で割り出された67社を大公開

 Zスコア――。財務情報を基に、企業が経営危機に陥っているか否かを割り出すためのバロメータ―だ。

 この指標の考案者は、米国の著名な経済学者であるエドワード・アルトマン氏。短期の資金繰り状態、利益の厚み、利益を生む効率性、負債の負担度、売り上げを稼ぐ効率性の五つから、企業の倒産危険度を示すスコアが算出される。

 Zスコアの合計値が低いほど、倒産リスクは高い。具体的に1.81未満の企業は、「危険水域」に到達していることを意味する。もちろん、Zスコアが1.81を下回っても必ず倒産するとは断言できない。また、業種ごとでもスコアの高低に差が生じる。

 それでも、Zスコアが低位にとどまる企業は、資金繰りや内部留保、経営の効率性のいずれかに、あるいは全てに“疾患”があることは間違いない。

 今回ダイヤモンド編集部では、Zスコアに別の指標を組み合わせた一つのランキングを独自に作成した。その指標とは、来年4月に東京証券取引所が市場再編を行うに当たり、最上位のプライム市場への移行基準として設定した「流通株式時価総額100億円以上」だ。

 詳しいランキングの作成方法は記事末に譲るが、流通株式時価総額が100億円を下回っている東証1部上場企業から、流通株式時価総額の金額が小さい順に300社を抽出。その300社のZスコアを割り出した上で、1.81を下回る企業をスコアが小さい順に並べ替えた。

 その結果、プライム陥落と経営危機という“二重の窮地”にある企業が、実に67社あることが判明した。早速次のページから、その顔触れを紹介していこう。