岸田首相の怒りの理由は、この日の読売新聞朝刊が「14日解散来月7日総選挙」「岸田氏、意向固める」と1面トップで報じたことだった。

 党幹事長に甘利明氏、副総裁に麻生太郎氏を配置したのに加え、政調会長には総裁選で安倍晋三元首相の全面支援を受けた高市早苗氏を起用。党内人事は実力者の「3A」に配慮して見せたはずだった。

 だが、2日後に迫る組閣人事を巡ってもその大きな影響力に苦慮していた。そこに、「首相の専権事項」である解散権にまで踏み込んだ報道が自身の考えとは別に出たことを岸田首相は不快に感じたようだ。

最低レベルの支持率で船出の岸田内閣
衆院選を控えた自民党議員には衝撃

「安倍・麻生傀儡政権」「3A内閣」――。新首相の持ち前の生真面目さで清新なイメージをアピールしたい岸田内閣だが、安倍・麻生・甘利3氏の存在感が強いあまりに各種世論調査の支持率は低調だ。

 朝日新聞の調査では内閣支持率45%(不支持率は20%)と、発足直後の支持率としては最低を記録。毎日新聞でも過去20年間で2番目に低い49%(同40%)、最も高かった日本経済新聞の59%(同25%)も政権発足時としては過去3番目の低さだった。衆院選を間近に控える自民党議員には「衝撃」といえる。

「総裁選での勝因と党内基盤を考えれば『3A』を立てるのはやむを得ない。これから徐々に上昇させていけばいいだけだ」。岸田氏の周辺は、低調な船出が必然だったとの見方を示す。「傀儡」色がにじむことに加えて、「政治とカネ」問題が再びクローズアップされるようになったからだ。

 党幹事長に起用した甘利氏は経済再生相を務めていた2016年、都市再生機構(UR)への口利きを巡り建設業者からの金銭受領疑惑で引責辞任。新しく党組織運動本部長に就いた小渕優子氏も14年、関連政治団体が主催した観劇ツアーを巡る政治資金規制法違反疑惑で経済産業相を辞任した。

 甘利氏は10月5日の記者会見で「私としては説明責任を含めて、責務を果たし終えたと考えている」と説明したが、立憲民主党をはじめとする野党は国会招致を求めるなど攻勢を強めている。