日本企業を襲う「デジタルマングース」

 さて、現在の日本企業にとって、奄美のマングースのような外来的変化は何だったでしょう。

パナソニック希望退職「期待していた人まで退職」の理由は、カエルとマングースから学べる

 日米の平均株価は、30年前から比べると、大きな開きが生まれてしまいました。米国株は約10倍もの上昇を遂げた一方、日本株は成長していません。平均株価の上昇率だけでなく、劇的に株式インデックスの構成が変わり、GAFAなど急成長した新興企業を多く生んだ米国と比べると、日本は依然としてレガシーな企業が強い国です。特に直近の10年は、日本企業が時代の変化に合わせた新規事業やスタートアップの挑戦を加速できなかったため、世界の成長に乗り遅れてしまったと言えるでしょう。そしてこの変化を最も牽引したのは、言うまでもなくデジタルシフトでした。

 まさに、デジタルマングース。このような状況から駆逐されないためにも企業の生き残り戦略が模索され、この数年はDXによる組織の流動性を上げる試みやイノベーションのブーム、新規事業およびスタートアップへの投資が日本の大企業でも盛り上がり始めています。

 しかし、大企業には何万人もの人が勤めています。変化の時代にあっても、何も変わらないところで働いている人も多くいるのです。もちろんデジタルシフトの中で、何社もの日本の製造系企業が海外に身売りしてしまったように、変化は目の前に迫っています。そんな中、このご時世でも終身雇用で変わらない仕事ができると考える人、つまり変化は自分とは関係ないと思っているカエルは、逃げたりはしません。

 しかし、デジタルマングースの近くに生息していたカエル、すなわち変化を肌で感じていた人たちはどうでしょう。大企業の中での彼らは、新規事業開発を担っていたり、先端技術に触れていたりしたかもしれない。そんな人たちこそ、ピンチのカエルのようにピボットするすべを身に付け、早期希望退職を渡りに船と捉えたでしょう。経営者としては変化を感じていない旧来型の人材を切りたかったはずですが、むしろ変化にさらされている人たちの逃避行動こそ、刺激してしまうわけです。

 もちろん、外来種の登場と新技術の登場の比較で退職者の生態を説明するのは、乱暴なたとえ話かもしれません。しかしこれらの現象は、「こじつけだ」と笑えないほどよく似ていると思いませんか?