パナソニックが、バブル世代をメインターゲットにした大規模リストラに着手することがダイヤモンド編集部の調べで分かった。早期退職プログラムの一つである「割増退職金」の上限が4000万円に設定されるなど大盤振る舞いをする。それほどまでに成果の乏しいロートル社員の滞留が戦力人材の活躍を阻むことが、社内では問題視されていた。内部資料を基に早期退職プログラムの中身を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
対象は勤続10年以上の社員だが
「50歳以上のバブル世代」を狙い撃ち
10月に、パナソニックは持ち株会社体制への移行を踏まえた組織再編を実施する。6月末に社長に就任する楠見雄規氏率いる新体制が本格始動するのだ。その直前のタイミングで、パナソニックが大規模リストラに着手することが分かった。
パナソニックは、既存の早期退職制度を拡充させた「特別キャリアデザインプログラム」を期間限定で導入し、割増退職金を加算する。割増退職金支給の上限額は4000万円に設定されており、その金額は破格の大盤振る舞いであると言えそうだ。
また、希望する社員は転職活動に必要な「キャリア開発休暇」を取得したり、外部の人材サービス企業による「再就職支援」を受けられたりする。
対象は、勤続10年以上かつ59歳10カ月以下の社員(管理職と組合員の双方)。ただし、組合員にはネクストステージパートナーと呼ばれる再雇用者(64歳10カ月以下)も含まれる。
今回の早期退職制度の拡充について、パナソニックは建前では「人員削減を目的としたものではない」という姿勢を貫いている。
社内に配布された内部資料には、今回の早期退職制度の目的について、以下のように記されている(一部抜粋)。
「今般のグループ基本構造再編によって、一人ひとりの仕事や働き方、役割や責任の変更のみならず、転籍による在籍会社の変更、さらには事業会社ごとの労働条件変更など、事業の専鋭化(パナソニックの造語。絞り込んだ領域において競争力を磨き上げるという意味)に向けてこれまでにない大きな変化が予測されることも事実です。
会社が新たな体制に向けて再スタートを切るこの機会に、これまで当社で培ってきたキャリアとスキルを活かし、社外に活躍の場を求めチャレンジする従業員に対しても、既存のライフプラン支援制度を時限的に拡充し、『特別キャリアデザインプログラム』として適用することで最大限の支援を行いたいと考えています」
あくまでも、従業員の自律的なキャリア形成を支援するための制度であり、リストラではないことを強調している。
だが、今回の制度がバブル入社組を標的にした「壮絶なリストラ」であることは、火を見るよりも明らかである。