生物もビジネスも「ボケとツッコミ」で進化するPhoto:PIXTA

今年4月に発刊された『進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」』が、クリエイターのみならず、ビジネスマンの間でも話題を呼んでいる。著者の太刀川英輔氏は慶應義塾大学で建築デザインを学んでいた学生の頃から「創造性は本当に、一部の天才しか持ち得ないものなのか?」という疑問を抱いて探求を積み重ね、「生物の進化に創造性のヒントが詰まっている」ことを見いだした。凡人をクリエイターに変身させる太刀川氏の「進化思考」は今、企業や教育現場など、さまざまなシーンで活用され始めている。

進化からイノベーションを学ぶ進化思考

 こんにちは。デザインストラテジストの太刀川英輔です。生物の進化からイノベーションの本質を学んで、誰もが創造的に発想できるようになる手法、「進化思考」を提唱しています。

 46億年の生物進化から創造性を体系化した「進化思考」は、提唱からこの5年間ほど、徐々にさまざまな領域に広がってきました。研修でお話しした会社の中には「世界最強のイノベーション手法だ!」と喜んでくれる方も出てきていて、すでにさまざまな企業でコンセプト立案の手法として採用されています。

 今年4月、私は『進化思考――生き残るコンセプトをつくる「変異と適応」』という本を出版し、山本七平賞という学術賞を受賞しました。

「ここまでイノベーションを体系化した本はなかった。」カヤック代表取締役 柳澤大輔
(『進化思考』の書籍帯から)

 ただこの本、厚さが3.5センチ(512ページ)もあるので、「こりゃ気軽に勧めにくいぞ、もっと短くて読みやすい解説を」という声もあって、今回から【進化思考入門】の連載をしていきます。よろしくお願いします。

創造性にはパターンがある?

 私たちは創造的な発想をしたいという願いを抱いても、つい才能のせいにしたり、選ばれた人だけのものだと諦めたりしがちです。しかし、本当にそうなのでしょうか。僕は、15年前、最高のデザイナーになりたいという青い夢を握り締めた学生でした。当然デザインもうまくできませんでした。