米国のシェール業者は来年、石油生産へ向けた投資を若干増やす見通しだが、原油価格が1バレル=80ドルを超えたにもかかわらず大幅に増産する予定の企業は少ない。米国の産油地域の設備投資は今年、2004年以来の低水準になると予想されている。2004年といえば、フラッキング(水圧破砕)ブームで米国が世界トップの産油国になる何年も前だ。アナリストは、石油会社が来年の国内投資を15~20%増加させるとみている。それでも、新型コロナウイルス感染流行前に掘削に投じた額より少なく、米原油価格が前回、今と同水準に達した2014年の投資額をはるかに下回る。アナリストや業界幹部によると、その背景には、米金融企業が国内のシェール企業に対し、支出と原油生産量の抑制を求める圧力を弱めていないことがある。コロナ以前は、原油価格が高水準に届けば、米国の生産者は市場を大量の原油であふれさせたが、結局は利益より支出の方が多くなった。