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退職金が出るまでは、ローン返済を急ぐことなく、余裕資金は株式に投資すべきである。それにより退職日の資産内容が妥当なものに近づくはずだ。（経済評論家 塚崎公義）
退職日に一気に買うのはリスク
退職金が出る前は住宅ローンの返済などでほとんど金融資産がないため、全額が預金になっている家計が多いであろう。そうした家計は、退職金を受け取った途端に「多額の老後資金を持っているが、ほとんどが銀行預金だ」という状態になるはずである。
しかし、銀行預金はインフレに弱いリスク資産なので、それは危険な状態だ。資産の一部をインフレに強い株や外貨に分散しておくべきであろう。株や外貨そのものよりも、日本株の投資信託や外国株投信のほうが、銘柄分散が容易なので、投資初心者にはそちらをお勧めするが、どちらも基本的な考え方は同じだ。
そうはいっても、退職金が出たときに多額の株などを一気に買うのもリスクだ。たまたま退職日が株価の安い日であれば大もうけができるかもしれないが、株価の高い日であれば大損をするリスクもある。
それ以前に、退職日に初めて投資をするということ自体も危険だ。投資に不慣れな初心者が一気に多額の投資をすることになるからである。
退職金での投資デビューが危険であるということについては、前回の拙稿『退職金が振り込まれると銀行の「支店長室」に連れていかれる理由』（https://diamond.jp/articles/-/284675）を併せてご参照いただければ幸いである。
