もちろん、近所にあるすべてのコンビニが野菜販売を始めたわけではない。筆者の見るところ、野菜販売を始める店舗には「売り場面積に余裕がある」「店舗に駐車場があったり、店舗前の路上が狭くない」「近くにスーパーがない(最寄りスーパーまでの距離がやや遠い)」といった共通点があるように感じる。近隣のコンビニが野菜販売を始めると、追随するように他社のコンビニも始めるといった傾向も感じる。

 筆者は週に何度かスーパーで食材の買い出しをするが、調味料などを買い忘れた際には最寄りのコンビニを利用することがある。コロナ禍では人混みを避けていた人も多いだろうから、短時間で人との接触が少なく買い物を済ませられるコンビニで野菜が売られることをありがたいと感じた人もいただろう。

コロナ禍、コンビニの野菜需要は増えた

 実際、コンビニでの野菜販売は増えているのだろうか?各社に聞いたところ、次のような回答が返ってきた。

●ファミリーマート
「都内の青果販売に関しては、コロナ前の同時期(2019年8月)と比較して伸長しています。併せて都市部と地方を比較した際、都市部の方が伸長している傾向にあります。店舗により取扱商品数は異なりますが、(コロナ前と比べ)取扱数および販売金額は約10%増えています」
●ローソン
「都内もそうですが、全国的に野菜の販売は増えています。また、現在全国の約3~4割の店舗で生野菜の販売を行っています。コロナ禍以降、ずっと野菜・果物等生鮮品の実績は前年同月を大きく上回っています。特にかんきつ類の販売実績が大きく伸長しており、健康を気遣いビタミンを摂取される方が増えたのではと思われます。また、コロナ禍で短時間に買い物を済ませたいという方も多く、コンビニで野菜を買う機会が増えたのかもしれません」
●セブン-イレブン
「コロナ禍により在宅・健康ニーズが高まり、その一つとしてホール野菜の需要も伸長していると感じております。併せて、1カ所で1度に買い物を済ませるワンストップニーズの高まりも影響していると考えております。また、ホール野菜のみでなく、カット野菜や冷凍食品の分類での野菜販売も伸長しております」

 やはり増えている様子。そして、各社の実感としてもコロナ以降需要がさらに高まっているようだ。

 筆者は野菜にばかり気を取られていたが、そういえば果物販売も同時に見かけるようになった。流行のシャインマスカットが丸ごと3桁の価格で売られているのを見たこともある。ミカンのバラ売りはスーパーではあまり見かけないので驚いたが、一人暮らし需要だと考えればよくわかる。

 よく知られている通り、コンビニは本部と各店舗の契約によるフランチャイズである。仕入れや品ぞろえは基本的に各店舗に任されており、青果販売についても例外ではないという。

 ローソンの担当者は「最近は地域の仲卸業者や八百屋と連携して委託販売を実施する店舗が増えています」とコメント。

 さらに「輸入商材の一部の果物などは、本部で全店舗分を一括して買い付けるので数量のメリットがあり、仕入価格をスーパーより抑えられることがあります」(ローソン)というように、一部商品については本部の一括購入による優位性もある。