首相就任から約1週間で主張を変更
岸田首相の経済政策が「うやむや」になっている?
10月4日の夜、岸田文雄首相が就任初の会見で強調したのは、「分配なくして成長なし」でした。直後に「分配」がトレンドワードとなったはずなのですが、それがその後、どうもうやむやになっていきます。
まず新聞が世論調査をしたところ、国民の多くは分配よりも成長を重視していることが判明しました。日本経済が成長していないのにバラマキではたまらないなどという声も聞かれました。すると、初会見の2日後である10月6日には松野博一官房長官が、成長と分配は車の両輪であると説明しました。それ以降、政策のキャッチフレーズも当初とは順序が逆の「成長と分配」で固定されるようになります。
総裁選の頃、岸田氏は「成長は大事だが分配も考えないと日本はおかしくなってしまう」と持論を展開して、具体策として富裕層優遇につながっている金融所得への税率20%の引き上げを示唆してきました。岸田首相は、金融増税を決断して中間層復活への分配財源にする気だと、国民は受け取ったはずです。
ところが、岸田氏は首相就任からわずか1週間ほどの10月10日には、金融所得増税については一転して、「当面は触るということは考えていない」と主張を変更しました。
総選挙が始まる中、このような変更で岸田新首相の経済政策は何が核なのかが、よく見えなくなってきています。いったいなぜ、そんなことが起きているのでしょうか? 岸田首相の主張をめぐる謎を解明してみたいと思います。