衆院解散からわずか5日で衆院選挙は10月19日の公示日を迎えた。異例の短期決戦を決断した首相、岸田文雄の狙いの一つに、新政権が発足すれば内閣支持率が急上昇するという「ご祝儀相場」への思惑があったことは否定できない。
確かに菅義偉政権末期は最悪の状況だった。内閣支持率は30%前後を低迷し、自民党の予想獲得議席を巡り、「解散前からマイナス70議席もあり得る」という見方も飛び交った。新政権誕生でどん底から脱出はできたが、上昇気流に乗ったわけではない。現職閣僚ですら「ご祝儀はない」と語る。
岸田が言及した勝敗ラインは「自公の与党で過半数(233)」。解散時の議席は自民党が275、公明党が29。合計304議席。233が勝敗ラインとすれば、マイナス71までは “与党勝利”ということになる。そこまで議席を減らす可能性は低いかもしれない。しかし、元首相の安倍晋三が采配を振った過去3回の衆院選のような勢いは感じられない。
背景には4人の候補者が激しく争った総裁選挙がある。自民党の幹部職員はこんな本音を漏らした。
「くたびれ果てました」