「令和版所得倍増計画」「金融所得課税の強化」「健康危機管理庁」…。岸田文雄首相が9月の自民党総裁選で掲げた「目玉政策」は、事実上の選挙戦スタートの中でことごとく封印されている。さらに、岸田首相が演説などで使ってきた言葉は“借り物”だらけであり、「パクる、ブレるというイメージが首相についてしまうと選挙戦にもマイナスの影響が出る」と、借り物を自分のものにする「借りパク」を不安視する悲鳴も自民党から聞こえてくる。(イトモス研究所所長 小倉健一)
岸田カラーが見えない衆院選
総裁選で掲げた「目玉政策」は封印
岸田文雄首相が衆議院を解散し、選挙戦に突入した。解散から投開票まで17日間と、戦後最短、現行憲法下で初の任期満了を超えた総選挙になるなど、今回は異例づくしだ。
就任11日目でのスピード解散に踏み切った岸田首相は「未来選択選挙」と位置付けるが、つい最近の自民党総裁選で掲げた自身の主張は党の政権公約に盛り込まず、その「ブレ」を不安視する声も党内から上がる。
「国民一人一人が豊かで生き生きと生活できる社会をつくりあげることができるのは誰なのか。どの政権なのか。国民の皆さんに選んでいただきたい」
岸田首相は10月14日、総選挙への意気込みをこう語った。衆院の解散権は首相の専権事項であり、解散日の首相会見は「最大の見せ場」といえる。だが、本格的な国会論戦が行われず、衆院選で掲げる政権公約でも「岸田カラー」が見えない中、何をどのように評価すればいいのかと悩む有権者は少なくないだろう。
「令和版所得倍増計画」「金融所得課税の強化」「健康危機管理庁」…。岸田氏が9月の党総裁選で掲げた「目玉」は、ことごとく封印されている。