韋駄天とは、足の速い人

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韋駄天(いだてん)

〔意味・由来〕 足の速い人。古代インドの民族宗教のバラモン教の神・シヴァ神の子ども。釈迦の入滅(死)のときに仏舎利(釈迦の遺骨)を盗んで逃げる捷疾鬼に追いついて取り戻して、足の速い神だと認識される。このことから、足の速い人を「韋駄天」と呼ぶようになったといわれる。

 太宰治の短編小説『走れメロス』は、羊飼いのメロスが自分の身代わりで人質になった親友の命を救うためにひた走って友情の絆を深め、それを見た暴君が改心した物語である。豪雨で氾濫した激流の川を泳ぎ切り、襲ってきた山賊にも打ち勝つメロスだったが、さすがに疲労困憊して体力の限界を迎え、ついに動けなくなってしまう。立ち上がることさえできないメロスは、天を仰ぎ、悔し涙に暮れながら、自身を「韋駄天」に例えて絶望の想いを叫ぶ。そのまま眠り込むが、清水の湧き出る音に気づく。思わず両手ですくいひと口飲むと、メロスにわずかな希望が生まれて、また、走り出す。絶望の淵のメロスを救った水。九死に一生を得たのは、「韋駄天」の神がメロスに駆けつけたからかもしれない。

〔引用〕 ――ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たメロスよ。真の勇者、メロスよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。(太宰治『走れメロス』)

【この三字熟語わかりますか?】韋□天(ヒント)太宰治の短編小説『走れメロス』にも出てくる三字熟語

西角けい子(にしかど・けいこ)
ステージメソッド塾代表/学習コンサルタント/三字熟語研究家
オムロンを退職後、日本有数の大手塾の激戦区である兵庫県西宮北口にステージメソッド塾を開業。
国語力を急伸させる独自の「ニシカド式勉強法」により、わずか6ヵ月でごく普通の成績だった7名の塾生を日本一(全国版学力テスト)に育て、多くのマスコミから取材される。「お母さんの言葉がけ」と、「暗記力」「ノート力」「作文力」アップを重視した「ニシカド式勉強法」は定評があり、倍率10倍以上の超難関公立中高一貫校に、14年連続地域No.1の合格者を出している。片道3時間以上かけて通う小学生や新幹線や飛行機で通塾する中学生もおり、塾周辺に転居してくる家庭も多い。
ひょんなことから、国語の世界で影が薄い「三字熟語」のおもしろさに気づき、軽やかで、庶民的で、思わずクスッと笑ってしまう三字熟語にハマる。三字熟語ラブな思いが高じて、三字熟語クイズを作り始めた。夏目漱石や太宰治などの文豪が使う「三字熟語」の巧みな表現にしびれ、文豪の人間味や生き方に興味を抱き、文豪の出生地巡りや墓参りをしながら、「三字熟語」の探究を続けている。