中国で「パナソニック」と「くまモン」の明暗を分けた、漢字表記の落とし穴2016年中国江蘇省南京市で開催されたマラソンで、くまモンに扮した参加者 Photo:VCG/gettyimages

中国語では「酷MA萌」、中国語文化への理解不足

  日本の地方自治体のなかで、もっともPRキャラクターの開発と活用に成功したのは、おそらく「くまモン」を開発した熊本県だろう。

  熊本県は、2013年に、くまモンの中国語ネーミングを「「酷(クー)MA(マ)萌(モン)」と決めて、観光客らを通じて、市場を中国に広げようとした。

「酷MA萌」という当て字は、中国語で「かっこいい」を意味する「酷」、「かわいい」の「萌」、海外キャラクターと分かるようアルファベット「MA」を組み合わせたと同県は説明する。その説明に一理はあるが、発表当時から私は冷ややかに見ていた。

 理由はネーミングが極めて日本的で、中国語への理解が不足していると感じたからだ。

 日本語では、コンビニエンスストアをコンビニ、パーソナルコンピューターをパソコンなどと、4音節語に短縮する文化がある。

 中国語でも似たような現象が見られるが、中国語の場合は、もっとも多く使われているのが二字熟語である。だから、言語を短縮して表現する場合も、4音節語ではなく、2文字にする習慣がある。たとえば、家庭教師を「家教」、彩色液晶屏(カラー液晶パネル)を「彩屏」、政治協商会議(中国版参議院のような政治機構)を「政協」などと短縮する。