中野区「生活保護」置き去りに抗議殺到、区役所移転問題の顛末中野区役所 Photo:PIXTA

中野区福祉事務所の移転問題
方針が二転三転した経緯とは

 21年10月25日、東京都中野区役所は、現在建設中の新庁舎に福祉事務所を移転させるという方針を決定した。中野区役所の現庁舎は1968年に建てられたもので、老朽化が著しく、耐震強度の確保も困難である。このため新庁舎の建設が開始されており、2024年度から移転することとなっている。しかし、現庁舎内にある福祉事務所(生活援護課)も、他部署と同様に新庁舎へ移転する方針となるまでの道のりは、平坦ではなかった。

 当初計画では、福祉事務所は新庁舎に入るはずだった。ところが、いつの間にか、新庁舎の外、中野区の既存施設のどこかに置かれる方針となっていた。移転先や移転後の形態は二転三転し、2021年初夏には新庁舎と老朽施設に福祉事務所を分割して設置する方針が明らかになった。そのような、行政の「ほぼ決定事項」が、全面的に変更されたのである。

 思わず「山が動いた」と言いたくなる。「山が動いた」は、1989年夏の参院選で野党が過半数となったとき、社会党の委員長だった土井たか子氏が発した言葉だ。