妻の浮気が原因で離婚。突如、5歳の息子との父子家庭になった。手元に残された全財産は90万円。定時退社で保育園へ息子を迎えに行く毎日で、残業代ゼロ。年収400万円で、カツカツの生活だった。ギリギリの節約生活で、4年で1000万円を貯め、本格的に株式投資を開始。紆余曲折を経ながらも某企業の大株主になるなど、資産2億円以上を築いた。その投資術を初公開する『どん底サラリーマンが株式投資で2億円』

【全財産90万円から株式投資で2億円】株式投資と仕事の共通点とは?Photo: Adobe Stock

仕事を頑張る(でも時間は売るな)

株式投資に夢中になって仕事を片手間で済ませるのは、サラリーマン投資家としてスマートではない。

あからさまに仕事を疎かにしていたら、周囲に悪影響を及ぼすし、上司に見破られてリストラ要員にリストアップされる恐れだってある。

そもそも仕事に真面目に打ち込むことは、投資活動にもプラスに作用する。

会社は多くのプロフェッショナルの集合体だ。

営業のプロもいれば、マーケティングのプロもいれば、ITのプロもいる。

そうした違う分野のプロたちとの触れ合いから、新しい投資先のヒントが見つかる可能性がある。

自分もIT部門で会計システムをつくった際、財務や経理の担当者たちとそれこそ膝を突き合わせて濃密な時間を過ごした。

そのときに株式投資に欠かせないPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)の読み方がわかり、数字が生きたデータとして腑に落ちるようになった。

管理職となったいま、自分の本質的な仕事の1つは、業務の必要性を吟味して無駄を省くことだと思っている。

何をやるかを決めるのではなく、何をやらなくて済むかを見定めて、業務の効率化を図るのだ。

無駄を省くことも、株式投資に通じる。

パフォーマンスが悪い銘柄を減らし、よりパフォーマンスの良い銘柄と入れ替える取捨選択が求められる局面もある。

仕事で無駄を省く作業に慣れていると、こうした取捨選択も躊躇なくできる。

仕事に励んでいると、会社が思いがけないチャンスをくれることもある。

自分は2014年、48歳のときに会社から1年間の米国勤務を命じられた。

ある米国企業の事業買収をするM&Aの案件があり、買収した企業と自社のシステムを統合するのが課せられた任務だった。

会社の米国事業を左右するような数十億円規模のシステム構築プロジェクトのリーダー役となり、毎日緊張の連続で大きなストレスに押し潰されそうになった。

勤務先は外資系企業でも商社でもない食品メーカーだったので、海外で仕事をするチャンスが巡ってくるとは、夢にも思っていなかった。

だから、社会人になってから英語を勉強したこともなかった。

そんな状態で米国勤務となったので、英語でのコミュニケーションが難航を極め、見かねた米国側の担当者が日本語の猛勉強を始めたくらいだった。

それでも、どうにかこうにか言葉の壁を乗り越えてプロジェクトを成功させ、帰国することができた。

仕事で結果を出していれば、このように思わぬチャンスに恵まれることもある。

早期リタイア後の選択肢の1つとして海外移住も視野に入れているけれど、それはたとえ1年とはいえ、海外生活を経験したことが大きく影響している。

前述の通り、離婚して父子家庭になってからは定時の5時半に仕事を終え、保育園に息子を迎えに行っていた。

働き方改革が叫ばれるようになったいまでもサービス残業は少なからずあるだろうし、逆に残業代稼ぎに精を出す人もいるだろう。

でも、もっと大きな目的を達成するためには、限りある自分の「時間」を会社の仕事に安売りするべきではない。

もちろん、仕事が自分の成長につながる価値があるなら、一心不乱に打ち込むことは有益だ。

人生に知識と経験、それに思い出を与えてくれる仕事も、良いものだと息子には伝えた。