がん検診を受けているのは「2人に1人」

 がん検診をみても、アメリカではなんと約8割の国民が受診している一方で、日本人の受診率は約4~5割にとどまっています(※4)

 受診をしない理由として、2014年度の世論調査では「時間がないから」「費用が高いから」といった理由が上位を占めています。しかし、人間は本当に必要と感じる場合には時間を作るものです。

 実際に時間がないというよりは、「がん検診のためにわざわざ時間を作りたくない」が正確ではないでしょうか。

 費用に関しても2000円を超えることはほぼありませんし、自治体によっては無料クーポンを配布しているところもあるくらいです。「費用が高い」という印象は誤りです。

 医者の立場からすると、安価で死亡率を下げる明確なエビデンスのあるがん検診を受けないのはとてもリスキーで、もったいない選択をしていると感じます。

 日本の「平均」の寿命が世界一とはいえ、もっと日本の恵まれた医療資源を利用したり、適切な情報を選択したりしていく必要があります。

【出典】
※1 Nakayama K, et al. Comprehensive health literacy in Japan is lower than in Europe:a validated Japanese language assessment of health literacy. BMC Public Health.2015 May 23;15:505

※2 Duong TV, et al. Measuring health literacy in Asia: Validation of the HLS-EU-Q47 survey tool in six Asian countries. J Epidemiol. 2017 Feb;27(2):80 86.

※3 https://apps.who.int/gho/data/view.main.SDG2016LEXv?lang=en

※4 厚生労働省 国民生活基礎調査 2019年版