自分の職業や専門分野を表現する方法の1つに、「○○屋」という言い方がある。
鉄道会社や車両製造などに携わる人であれば「鉄道屋」だし、自動車産業関連であれば「自動車屋」である。あるいは数学屋や物理屋といえば、その筋の専門家のことである。
この言い方、自分の職業や専門分野を、自称するときに使うことが多いように思う。へりくだった言い方であるとも言えるし、一方でプライドや自負を感じさせるともいえる。
では果たして、通信事業者や、通信産業に携わる人は、自分たちのことを「通信屋」と言えるのか。あるいは反対に「通信屋」といった場合、どこまでがその範疇に含まれるのか。
このところ、通信産業や通信政策に関する将来像を考える機会が増えたこともあり、そんな漠然とした課題が、頭から離れずにいる。これはつまり、アイデンティティの問題に、他ならないからだ。
土管屋は「非モテ」なのか?
少し前に、「ソフトバンクによるスプリント買収は業界地図をどう変えるのか」(主催:WirelessWire News)というクローズドセッションに登壇したときのこと。議論は今後の通信分野の産業構造に関する話題となり、その中で自ずと「土管化」というキーワードが登場した。
http://wirelesswire.jp/From_Editors/201211021255.html
この「土管化」という言葉、それ自体もいろいろな解釈が存在するが、大雑把に約すると、通信事業者が音声やデータの伝送を生業としている状態を指す。土管(の中にある回線)に関する事業に事業を集中させるから、土管化ということだ。