ソニー損保・GE・マイクロソフト…事業の成否を分ける「価格設定」の鉄則Photo:PIXTA

企業が収益を生み出すためには、「売り上げ」を上げる必要があります。そのために重要なカギを握るのが、「価格設定」です。価格設定の方法は、ビジネスの構造に大きな影響をもたらします。今回は、実際の企業例を挙げながら、価格設定の勝ちパターンを解説します。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)

価格を上げるだけではもうからない

 企業が存続していくためには利益を上げてキャッシュを枯渇させないことが重要です。そのためには、売り上げを上げる必要があります。

 一般的な小売企業を例に取ると、売り上げは、「単価×売り上げ個数」という式で表すことができます。

 要するに、売り上げを上げるためには、売り上げ個数を伸ばすか、単価を上げるかが重要だということ。

 実際、多くの企業は売り上げ個数を伸ばすために日々営業活動や広告を行っています。もちろんそうした営業活動は企業にとって大切なものですが、例えば、来月は売り上げ個数を10%上げるという目標設定はかなり高いハードルに感じられると思います。

 一方で「単価を10%上げる」というのは、各所と調整や交渉が必要になるかもしれませんが、決断さえできればすぐに実行可能なものです。価格設定は企業の収益に大きなインパクトを及ぼします。

 しかしながら、いきなり10%値上げすれば、競合商品がある場合には当然ながら売り上げが大きく減少するリスクがあります。

 それだけ「価格」が企業の収益にもたらすインパクトは大きく、価格設定は重要なアクションだといえるのです。

 そこで、今回から複数回にわたって、価格がビジネスモデルにもたらす影響について整理し、企業例を踏まえながら価格設定の成功パターンについて解説していきたいと思います。