多くの老親世代(70~80代)が「PPK(ピンピンコロリ)」を望みますが、現実には誰かの介助を受けながら最期に至るケースがほとんどです。現役世代は、老親の死後に「争族」が起きないよう、「まさか」の事態に備えなくてはいけません。どう備えれば良いのか、考えてみましょう。(百寿グループ代表、社会福祉士 山崎 宏)
親の「まさか」は子の「まさか」
老親問題は誰の身にも100%起こりますが、きちんと対策を講じておく人はあまりいません。仕事では当然のようにリスクヘッジをする人でも、老親のことは見てみぬフリをして先送りしてしまうようなこともあります。そして、ある日突然、事は起きるのです。
でも、当事者たる親側はまだいいのです。多くの場合、本人はもうわからないからです。困るのは後のことをしなければならない子どもの側です。親が備えぬままに「まさか」が起こったとしたら、不便や不利益を被るのは子どものほうです。たとえ絶縁状態にあったとしても、親子の縁は死んでも切れません。仕事や家庭のことでてんてこ舞いしているさなかに親の不幸があれば、厄介なことになりかねません。
終活適齢期は50代から
人間50歳ともなれば、明日の朝、今日と同じように元気に目覚める保証はありません。十の位を四捨五入して100歳になるみなさんは、老い先のことで子どもたちに負担をかけたくないのであれば、即刻備えるべきです。遅くとも、後期高齢者(75歳)になるまでには段取りを終えておくことをお勧めします。これは親世代最後の大仕事です。
残念ながら親が備えていなそうであれば、老親問題で大変な目に遭わなくて済むように、早い段階から親を備えさせるように誘っていく必要があります。「エンディング」までに想定される諸課題ごとに、親子で具体的な段取りについて共有しておかねばなりません。その際に、現役世代のみなさんも、一緒に備えるようにしてください。
終活を通じて親子での会話や共有する時間が増えたとすれば、これはとても価値のあることです。兄弟姉妹がいる場合には、他の誰よりも早く、親に声かけすることをお勧めします。そうすることが、近い将来にあなたをハッピーにしてくれます。