ようやく落ち着いてきたコロナ禍の中、影響を受けた貧困世帯への支援策も打ち切られるのでは、とみられている。だが、コロナ禍であぶりだされた貧困問題を果たしてこのままにしていいのだろうか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第231回では、これまでの医療費面での貧困層への支援策を振り返りつつ、今後のあり方を考える。(フリーライター 早川幸子)
相対的貧困率は15.4%に到達
コロナ禍であぶりだされた日本の貧困の姿
11月7日、日本国内の新型コロナウイルス感染症の死亡者が、約1年3カ月ぶりにゼロになった。同日の国内の新規感染者数は162人で、重症者数も100人まで減少。9月30日、緊急事態宣言が全国的に解除された後、心配された感染拡大のリバウンドも、今のところは起きていない。
営業を再開する飲食店や商業施設も増えてきており、街は少しずつ活気を取り戻しつつある。冬に向けてコロナの第6波は懸念されるものの、感染対策を続けながらも、コロナ以前の日常を取り戻す道が探られている。
このまま感染が終息していけば、2020年の初頭から始まった医療費に関するコロナ特例もいずれ縮小されることになるだろう。だが、健康保険料や医療費の窓口負担の支払いに窮する人は、コロナ以前から潜在している。このコロナ特例による支援策を一気に打ち切った場合は、これらの人々が困窮を深めることが懸念されている。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、休業要請や営業自粛などによって生活に影響を受けている人に対して、20年春から、国はさまざまな支援策を講じてきた。そして、新型コロナウイルス感染症に関連する個人の医療費に関する支援策には、これまでどのようなものがあったのだろうか。改めて振り返ってみよう。
●コロナ終息後、困窮世帯への医療費支援の打ち切りはさらなる貧困を生み出す