経営 X 人事
若手社員を辞めさせず成長させる 「適度なかまい方」マニュアル
【第7回】 2009年1月20日
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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

部下の言葉に“生返事”してませんか?
「傾聴」できない上司が失う「部下の信頼」

――[適度なかまい方 5か条] その(1)「傾聴する」

 「若手の悩みについて把握することには限界がある」と言いましたが、その理由は明らかです。若手が抱えている悩みと言うのは、いまの私たちにとっては「取るに足りないこと」だからです。経験を積んだ私たちが、あたかも呼吸をするようにできてしまうことが、若手には難しいし、悩みの種になるのです。

 新人時代を思い出してみましょう。私たちも、いまの自分だったら「当たり前のこと」で悩んだり不安になったりしたはずです。新人たちが抱える思いはさまざまです。先に挙げた研修では次のような感想も聞かれました。

 「PDCAサイクルで言えば、ここまでの私は“DO”だけで駆け抜けてきたように思います。だから成長が感じられなかったのでは、と気づきました」

 「失敗するたびに気持ちが大きく揺れて疲れるので、セルフコントロールの仕方をもっと学びたいと思いました」

 それぞれ私たちの「ザ・ファースト・ステップ『一人前の仕事力』」の内容をふまえた感想ですが、これらの感想には1年目社員が抱える不安の根と、それへの対処法が見て取れます。

 まだ慣れていない仕事のさまざまな局面に、若手はしんどい思いをしています。早く一人前になりたい、すなわち成長実感を強く求めているだけに振り返るより前に突き進もうとする。また、小さな失敗が過大なことに感じられる。

 これに対して、場数を踏んだ私たちはシンプルなアドバイスができます。仕事に失敗はつきもの。入社からしばらくは失敗の影響が深刻なものになりそうな仕事は任せていない。これは説明すれば容易に理解が可能です。その上で、失敗すること、少なくとも失敗するかもしれない試練を経験することで、ひと皮むけて成長する――これは、キャリア論の第一人者である神戸大学大学院の金井壽宏教授の持論でもあります。

 そして前に進んでチャレンジすることは大事だけれど、“DO”だけでは経験が血肉にならない。そこで、ときに立ち止まって振り返ってみる、すなわち“CHECK”&“ACTION”が必要であるということも、私たちにとっては当たり前の仕事の技術です。

 そんなことを教えてあげて、「だからキミは普通に成長のステップを歩いているんだ」とうまく理解させることができれば、若手の気持ちはずいぶんと軽くなるのではないでしょうか。

部下に何か聞かれたとき、
顔をパソコンに向けたまま生返事してませんか?

 ここまでの話しをまとめます。

 若手は取るに足りないことで悩んでいる。
 といって、その悩みを私たちが理解するのは限界がある。
 とはいえ、幸いにして悩みに気づいたときには、
 私たちはそれを解消するためのシンプルな方法論を持っている。

 これは対若手コミュニケーションの大前提と言えます。これを、さらに具体的にブレークダウンしていきます。

[適度なかまい方 5か条]
(1)傾聴する
(2)必ずフィードバックする
(3)質問する
(4)仕事の意味を伝える
(5)プロセスを評価する

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

1961年、東京都生まれ。1986年 、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属され、以後、記者として流通、家電、化学・医薬品、運輸サービスなどの各業界を担当。2000年 週刊ダイヤモンド副編集長。2006年 人材開発編集部副部長。著書に『だから若手が辞めていく』(ダイヤモンド社刊)

 


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