キリンビール社長交代会見玉突き人事を行ったキリングループ。左から、キリンHD常務吉村氏、キリンHD社長磯崎氏、キリンビバレッジ社長堀口氏 Photo by Koyo Yamamoto

キリンホールディングスは傘下のキリンビール社長に、キリンビバレッジ社長の堀口英樹氏(59)が内定したと発表した。新社長人事で浮かび上がる「新・出世ルート」に、社内外の注目が集まっている。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

キリングループで“玉突き人事”
ビール社長に堀口氏、ビバレッジ社長に吉村氏

「正直、グループ内の“玉突き人事”は盲点だった」。あるキリングループ関係者は、公表されたトップ人事についてこう振り返る。

 キリンホールディングス(HD)は9日、傘下のキリンビール社長に、キリンビバレッジ社長の堀口英樹氏(59)が22年1月に就任すると発表した。

 キリンビール社長は、前社長の布施孝之氏が9月に急逝して以降、キリンHDの磯崎功典社長(68)が兼務していた。今回の人事を受け、磯崎氏の兼任は解消となる。

 また、堀口氏の後任となるキリンビバレッジ社長には、キリンHD常務執行役員兼キリンビール取締役の吉村透留氏(57)が就く。

 布施氏の急逝に伴い、早急に新たなキリンビールのトップを決める必要に迫られていたキリンHD。もともと社内では、キリンビール幹部からの内部昇格が有力視されていた。

 コロナ禍で飲食店向けのビール需要激減という“有事”に直面する中での、社長の急逝という緊急事態。グループ全体を巻き込む人事は着手しづらいとみられており、吉村氏や小川洋取締役の他、平岡敬規常務執行役員らの名前が社内では取り沙汰されていた。

 キリンビバレッジから横滑りでトップに就く堀口氏は長らくキリンビールを離れており、約15年ぶりの復帰だ。これが今回の人事が“盲点”だったと社内で語られる理由だ。

 さらに、気の早い社員の間では、キリンの“新たな出世ルート”が密かに注目されるようになっている――。