「勝てなかったけれど、負けもしなかった」。自民党の選対幹部が自嘲するように、10月31日投開票の衆院選はまさしく「勝ちに不思議な勝ちあり」の結果だった。自民党は公示前の議席から15議席を減らしながらも、国会を円滑に運営できる261議席の「絶対安定多数」を確保した。
これに与党の公明党の32議席を加えると、293議席。自民党内には「これまで議席が多過ぎた。スリムになってちょうどいい」(党幹部)という声すらある。選挙後初めて開かれた11月1日午前の自民党の役員会でも、副総裁の麻生太郎(81)が首相の岸田文雄(64)にエールを送った。
「マスコミがいろいろ言うかもしれんが、選挙は大勝だった。胸を張っていい」
その一方で、選挙の最高責任者だった幹事長の甘利明(72)は小選挙区(神奈川13区)で落選。この結果、比例代表で復活当選したものの幹事長の辞表を提出した。