著名人や有名経営者から名指しで「あなたにインタビューをしてもらいたい」と声がかかるインタビュアーの宮本恵理子さん。これまでに取材した相手は延べ2万5000人以上。そんな彼女の「聞くスキル」を一冊にまとめた『行列のできるインタビュアーの聞く技術』が好評発売中です。本書の巻末には、実際に寄せられた「取材時の困った!」に宮本さんがどう対処してるのかをまとめました。本連載では、書籍の回答に大幅加筆し、取材の悩みに回答していきます。『行列のできるインタビュアーの聞く技術』と一緒に読み込めば、きっと話を聞くスキルがぐっと高まるはずです。

有名人インタビューあるある! 過去記事が多くて読み切れないときはどうする?Photo: Adobe Stock

メディア露出の多い有名人のインタビュー
大量にある過去記事は、どのくらい読み込む?

質問:著名な歌手の方をインタビューする機会があり、事前準備のために過去記事を検索したら、膨大に見つかりました。とても全部は読み切れません。インタビュー準備のために資料を読み込む際、取捨選択のコツがあれば知りたいです。

回答:過去記事のリサーチでは、メリハリをつけることがポイントになります。

 拙著『行列のできるインタビュアーの聞く技術』でもかなり細かく紹介していますが、最新の情報と、重要なターニングポイントに関わる時期の情報を中心にチェックしておくと、最低限はカバーできます。

「最新の情報」とは、直近のインタビュー記事や最新著書。「重要なターニングポイントに関わる時期の情報」とは、その人の経歴の中でも人生の転機だと思える時期の直後に出た記事や著書です。

 歌手の方であれば、デビュー当時やその人の代表曲となるヒット作が出た時期、あるいは歌手生命が危ぶまれたピンチの時などの発言を見返しておくと、人物像の大まかな輪郭を把握できますし、インタビューをしながら「あの頃に出した本にはこう書かれていましたよね」という聞き方をすることができます。

 この時に気をつけたいのは、収集した過去情報にとらわれすぎない点です。

 人は誰しも、日々の出会いや経験を通じて、少しずつ変化しています。同じ人物であっても、時を経て、考え方や価値観が180度変わることは頻繁に起きるものだと思います。

 だから、「今日、目の前にいるAさん」は、「すでに知っているAさん」とは別人かもしれない、という気持ちで臨んでください。すると、思い込みから解放されて、ちょっとした言葉の表現にも敏感に反応でき、新鮮な質問にもつながるはずです。

『行列のできるインタビュアーの聞く技術』では、本記事で触れたような相手の話を聞くためのさまざまなスキル、相手の心をほぐして話をよりスムーズに聞くためのスキルを88、紹介しております。そしてこの聞く技術は、インタビューという特殊な環境ばかりではなく、営業や1on1、会議、面接、コーチング、採用、雑談などあらゆるシーンでも生かすことができます。ぜひ、本書を手に取ってみてください。

有名人インタビューあるある! 過去記事が多くて読み切れないときはどうする?