「仲のいい友人との旅行でも、同じ部屋だとどうもうまく寝付けない」「寮やシェアハウスに入ってみたものの自分には合わなかった」「親しい同僚や後輩であっても、出張で四六時中一緒に行動するのは疲れる」……時々こんな声を聞くことがあります。長時間誰かと一緒にいるのが苦手という心理の背景にあるものとは?(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)
※本記事は『何でもないことで心が疲れる人のための本』から抜粋・再編集したものです。
「同僚」「友人」相手なのに疲れてしまうしくみ
楽しみにしていた友人との旅行。最初のうちこそ楽しく過ごすものの、食べるのも寝るのもずっと一緒、24時間をともに過ごすうちに、2日目3日目あたりで何だか気疲れしてしまい、家に帰りたくなってしまった……。こんな経験がある人もいるのではないでしょうか。
前回、一見、明るく外向的に見えるのに実は強い内向性を抱え、仕事や人間関係のささいなないことで消耗しがちな「隠れ内向」について紹介しました。今回はこれらの人がなぜ、人づきあいに疲れてしまうのかから見ていきたいと思います。
人づきあいに疲れるという場合、その根本にあるのは「人の目」を気にして、「人の目」に縛られる心理です。
内向的な性向を持つ人は、初対面の人や、深くかかわりのない知人に対して気をつかうだけでなく、友人や同僚といった身近な相手に対してもつい気をつかってしまいます。むしろ、長く関係が持続する相手に対するときの方が、「気まずくなりたくない」といった思いが強く働き、相手の反応を気にする傾向があります。