中国の富豪ジャック・マー(馬雲)氏はついに、新規株式公開(IPO)を通じてモバイル決済大手の持ち分を現金化するかもしれない。しかし、それは中国企業ではない。
インドのスマホ決済最大手「ペイティーエム(Paytm)」を傘下に擁するワン97コミュニケーションズは18日、同国史上最大のIPOを通じて上場する。マー氏が率いる中国のアント・グループは、同社の株式約28%を保有する筆頭株主。その関連会社であるアリババも約7%を保有している。いずれも恩恵にあずかる見通しだ。両社がペイティーエムに投資したのは、評価額がはるかに低かった2015年。IPO価格に基づくペイティーエムの評価額は200億ドル(約2兆2800億円)近い。アント自体は1年前、上場に失敗した。規制当局が土壇場でIPOを阻止したためだ。
他の著名な富豪投資家も、大金を手にすることになるだろう。ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイや孫正義氏のソフトバンクも、ペイティーエムに出資している。アリババをはじめとするソフトバンクの中国投資は、同国の規制強化の影響で苦戦している。だが、インドは状況が異なる。ペイティーエム以外にも、ソフトバンクの支援する複数のインド新興企業が、市場の活況に乗じて上場したか、年内の上場を予定している。