最先端の半導体工場を国内に構えることは各国共通の望みだ。韓国サムスン電子が米国に半導体工場を建設するのは、こうした流れにうまく乗った動きと言える。だが、かつてないほど制約が増えている地政学と先端半導体生産の関係について、サムスンはこの先、交渉術を学ぶ必要があるだろう。世界最大の経済国において、世界で最も重要な業界の技術的覇権を握ることは羨望(せんぼう)の的になるが、必ずしも居心地が良いとは言えない。サムスンはテキサス州テイラーに170億ドル(約1兆9500億円)を投じてファウンドリー(受託生産)専用の先端半導体工場を建設する。半導体の国内生産増強を目指すバイデン政権にとっては、目標にさらに一歩近づくことになる。サムスンのライバルである台湾積体電路製造(TSMC)もアリゾナ州に120億ドル規模の半導体工場の建設に着手しており、2024年には量産体制が整う見通しだ。米インテルは3月、200億ドルを投じて同じくアリゾナ州に半導体製造工場2カ所を新設すると明らかにしている。
サムスンの米半導体工場、地政学が落とす影
有料会員限定
あなたにおすすめ