ミドルマネジメントが経営と現場の橋渡しとなる
人が直接対話して影響を与えられる人数は5人程度といわれています。経営者の考えに対する理解を現場で促すにあたっては、経営者と現場の橋渡しとなるミドルマネジャーとの信頼関係が極めて重要です。
表層的な会話のテクニックではなく、本当に大切なのは経営者が心を開いてミドルマネジャーと腹を割って対話をすることです。日ごろミドルマネジャーのことを見ていないのに、人事評価のときにだけ紙面上の報告を見て褒めたり叱ったりしても、信頼関係の構築は難しいでしょう。
ここまで経営者の視点でのみ解説をしてきていますが、ミドルマネジャーも自身が経営と現場をつなぐうえで大切な役割を果たしているということを自覚する必要があります。現場の代弁者の顔をして経営の批判ばかりしているミドルマネジメントは論外です。
前回からの質問に戻りますが、世界でも最低レベルといわれる日本企業の社員エンゲージメントを高めるには、経営者が先入観を捨てて具体的事象から描いた会社の未来を、対話を通して現場とともに共創する姿勢、同時に、現場と経営者の橋渡しであるミドルマネジメントとの信頼関係を大切にすることがカギとなります。
次回以降も、読者からの質問に答える形でアーキテクト思考について事例を交えながら解説できればと思いますので、こちらから質問をいただければと思います。
ビジネスコンサルタント・著述家
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)等。
坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者・
キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ、