コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
発売たった5日で4.6万部を突破した、樺沢紫苑氏による最新作『ストレスフリー超大全』では、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー。
「全員仲良し」なんてありえない
「職場での人間関係」に関するある調査では、84%もの人が問題を抱えているというデータがあります。さらに、転職者に対する別の調査では、「人間関係が転職のきっかけになった人」が、53%にも及んでいます。
「うちの会社は人間関係がよくない」という話をよく聞きます。逆に、「うちの会社は人間関係が最高だ」「こんなに働きやすい職場はない」という話は、滅多に聞きません。
なぜでしょう。それは、「すべての職場は人間関係がよくない」からです。
私は、今まで10ヵ所以上の病院で勤務してきましたが、「人間関係がとてもよかった」という病院は、1ヵ所もありませんでした。どんな組織でも、数十人から数百人のバラバラな性格の人が集まっているので、全員が仲良しというのは、ほぼありえない話です。
たとえば、小学校、中学校、高校のクラスを思い出してみましょう。40人ほどのクラス全員が仲良しで、いじめや仲間はずれなどまったく存在しない、人の悪口を言う人も誰もいない。そんなクラスが存在したでしょうか。
あなたは自分の職場を「人間関係が険悪」と思うでしょうが、多くの職場を見てきた私から言わせると、それはごく「普通」のことです。「職場の人間関係はよくない」のがスタンダードなのです。
ですから、「職場の人間関係が悪い」という理由で転職すると、次の職場も「人間関係が悪い」、また次の職場も「人間関係が悪い」と、何度転職しても、理想の職場は見つからないはずです。考え方を変えるべきなのです。
職場の人間関係は深めるな
「対人関係の三重円」という考え方があります。
円の一番内側が、「重要な他者」である家族や恋人、親友。円の2番目が、友人や親戚。円の一番外側が「職業上の人間関係」です。
つまり、「職場の人間関係」は、心理学的に見ると重要ではないのです。それなのに多くの人は、「職場の人と仲良くなる」ことを重視し、「友人」と同レベルに親密度を深めようと膨大な時間と精神エネルギーを費やします。結果として、精神的に疲弊し、「今の職場を辞めたい!」と思うのです。
「まったく話をしない」「目も合わせない」「相手を引きずり下ろすための嫌がらせが日常茶飯事」など、仕事に支障をきたすと困りますが、職場の人間関係は最低限のコミュニケーションがあれば十分なのです。
社会人になってすぐの人は、それまでの人間関係を引きずります。たとえば、「高校、大学のクラスメイト」や「部活の仲間」のイメージで、「職場の人間関係」をとらえます。ですから、職場の仲間とも、今までの「友人」と同じような「深い関係」を築こうとする。結果としてそれは実現されないので、悩み、疲れるのです。
職場の人間関係は、もっと「ドライ」でいいのです。
職場の人と「仲良くなろう」という意識を捨てましょう。「仲良くなる」や「好かれる・嫌われる」ではなく、報告・連絡・相談など仕事に必要なコミュニケーションをすることのほうが、100倍、1000倍重要です。