コロナ禍で多くの企業がリモートワークを取り入れるなか、社内コミュニケーションのあり方が課題になっている。とりわけ、上司と部下とが顔を合わせる頻度が減ったことにより、業務への弊害があらわれてはいないだろうか。そこで、あらためて1on1ミーティングの重要性が高まっている。初めての著書『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』を上梓した由井俊哉氏が、コロナ禍を経た今、1on1ミーティングが持つ新たな可能性について語る。(構成/間杉俊彦)
「あなたの部下は、何でも安心して話してくれますか?」
マネジャーのみなさんは、次の質問に自信を持ってイエスと回答できるでしょうか。
・あなたの部下は、何でも安心して話してくれますか?
・対話と言いながら、ほとんどあなたが話しているだけになっていませんか?
・メンバーが本当にやりたいことを知っていますか?
すべてに自信を持ってイエスと回答できる方は、それほど多くはないのではないか、というのが私の感触です。すべてがノー、ではないにしても、どこかイエスとは言い切れない。そんな課題感を持っているのではないでしょうか。
そうであるとすれば、あなたの部下とのコミュニケーションには、改善の余地があるということです。
1on1は、上司と部下とが1対1で定期的に行う対話のことです。そこでは「上司が部下の話を聞く」のが原則で、決して進捗報告を強いたり、「詰め」たりはしません。言葉を変えれば、1on1は「部下のための時間」ということになります。
正しい1on1によってコミュニケーションが豊かになると、部下やメンバーには次のようなことが起こります。
・信頼関係が醸成される
・心理的安全性がつくられ、部下は話がしやすくなる
・仕事に対する主体性が生まれる
・問題が起こったときに、自分で解決できる
・学びが生かされ、成長する
つまり、1on1は人材育成の機会でもあり、チーム力の基礎部分を強固にする場でもある、ということです。